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廃棄物処理に関する法律の概要

廃棄物には様々なタイプがあり、その種類によって法律で定められた処理方法があります。適切な廃棄方法を知らずに処分に困っている人も少なくないでしょう。この記事では、廃棄物の種類ごとに必要な法律や、正しい処分方法について解説します。

廃棄物処理法と家電リサイクル法についての基礎知識

廃棄物の適切な処理には、「廃棄物処理法」、「家電リサイクル法」、及び「小型家電リサイクル法」という重要な法律が関与しています。これらの法律は、廃棄物処理や不用品回収の業務に直結しているため、深く理解することが必要です。ただし、これらの法律は条文の読解だけでは理解しにくい部分も多く、特に廃棄物処理法は関連法令や通知が豊富で理解を難しくしています。

廃棄物処理法に関する重要なポイントは以下の通りです。

  1. 廃棄物の回収には、法律に基づく許可が必要です。許可なく廃棄物を回収・処理する行為は、無許可営業とみなされ、処罰の対象となり得ます。しかし、現実には多くの廃品回収業者が必要な許可を取得せずに活動しています。
  2. 廃棄物と有価物の区別が重要です。回収対象が完全に価値を失った廃棄物なのか、まだリユースやリサイクルの価値がある有価物なのかによって、法的な扱いが変わります。
  3. 一般廃棄物(家庭から出るゴミ)と産業廃棄物(事業活動から出るゴミ)の区分があり、これらは異なる許可が必要です。一般的に、産業廃棄物の許可の方が取得しやすいとされていますが、一般廃棄物と産業廃棄物を混同して扱うと、無許可営業に該当するリスクがあります。

これらの法律の基本を理解し、適切な廃棄物処理を行うためには、一般廃棄物と産業廃棄物の区分を正確に把握し、必要な許可を取得することが不可欠です。

廃棄物処理法の改正点と不用品回収業者への影響

平成29年の廃棄物処理法の改正により、「雑品スクラップ」の取り扱いに関する重要な変更がありました。この改正は、特に不用品回収業者にとって注目すべき内容を含んでいます。改正された17条の2では、これまで曖昧だった有価物と廃棄物の区別に明確な線引きを設けました。

雑品スクラップとは、家電やOA機器などのスクラップを指し、これらにはレアメタルなどの価値ある資源が含まれることがあります。しかし、レアメタルにはカドミウムやクロムのように、人体や環境に有害な影響を及ぼす物質も含まれており、これまでの不適切な処理方法が問題視されていました。

改正により、以下の4条件を満たす雑品スクラップは、廃棄物として適切に処理する義務が設けられました。

  1. 使用が終了した機器であること。
  2. 収集された機器であること。
  3. 一部が原材料として相当程度の価値を持つこと。
  4. 不適切に保管や処分された場合、人体や環境に被害を及ぼす可能性があること。

この改正は、不用品回収業者が行う廃品回収のプロセスにおいて、有価物と廃棄物を正しく区別し、適切な処理を行うことの重要性を強調しています。

産業廃棄物と一般廃棄物について

廃棄物の種別とその区分について

廃棄物、一般に「ゴミ」と呼ばれるものは、法律によって細かく分類されています。ここでは、日本の法律でどのように廃棄物が分類されているかを見ていきましょう。

産業廃棄物

これは事業活動から生じるゴミで、廃棄物処理法で定められた20種類に分類されます。これには、日々の事業活動で発生する多種多様な廃棄物が含まれます。

特別管理産業廃棄物

産業廃棄物の中でも、爆発性、毒性、感染性などの特性を持つ危険な廃棄物を指します。

一般廃棄物

事業活動から生じる廃棄物以外のすべてのゴミを指し、これはさらに下記のように分けられます。

家庭系一般廃棄物

一般家庭から日常生活において発生するゴミを指します。

事業系一般廃棄物

一般廃棄物の中で、事業活動に由来するものの中で特に危険性が認められないゴミを指します。

特別管理一般廃棄物

一般廃棄物のうち、特に危険性が高いとされる廃棄物を指します。適切な処理が必要とされます。

このように、廃棄物はその発生源や性質によって細かく区分され、それぞれに適した処理方法が法律で定められています。

事業活動から発生する廃棄物20種類の概要

事業活動から発生する廃棄物は、その性質や発生源に応じて多岐にわたります。これらは、利益追求を目的とする企業活動から、公共の福祉を目的とした事業まで、幅広い範囲の事業において発生する可能性があります。以下は、産業廃棄物として分類される代表的な20種類の廃棄物の例です。

  1. 燃え殻:石灰殻や焼却炉の残灰など。
  2. 汚泥:排水処理で生じる泥状の廃棄物、洗車場や建設現場の汚泥など。
  3. 廃油:使用済みの鉱物油、動植物油、潤滑油など。
  4. 廃酸:写真定着液や廃塩酸など。
  5. 廃アルカリ:写真現像液や金属石鹸廃液など。
  6. 廃プラスチック類:合成樹脂の切れ端、廃タイヤ含む合成ゴムの切れ端など。
  7. ゴムくず:生ゴムや天然ゴムのくず。
  8. 金属くず:鉄鋼や非鉄金属の破片、研磨くずなど。
  9. ガラスくず、コンクリートくず、陶器くず:破損したガラス、コンクリート、陶器など。
  10. 鉱さい:鋳物廃砂や不良石灰など。
  11. がれき類:建築物の新築や改築で生じるコンクリート破片など。
  12. ばいじん:集じん施設によって集められた産業廃棄物のほこりなど。
  13. 紙くず:建設業やパルプ製造業から発生する紙のくず。
  14. 木くず:建設業や木材加工業からの木材のくず。
  15. 繊維くず:繊維製品製造以外の繊維工業から発生する繊維のくず。
  16. 動物性残さ:食品や医薬品製造業から生じる動物の固形不要物。
  17. 動物系固形不要物:処分された動物関連の固形廃棄物。
  18. 動物のふん尿:畜産業から生じる動物の排泄物。
  19. 動物の死体:畜産業で処分される動物の死体。
  20. その他:上記19種類に該当しない産業廃棄物の処理物。

これらの産業廃棄物は、適切な方法で処理する必要があり、その処理方法は法律によって厳格に定められています。

家庭と事業から出る一般廃棄物の違いについて

家庭系一般廃棄物

これは、日々の家庭生活から発生するゴミ全般を指します。たとえ産業廃棄物で挙げられる20種類のゴミに該当しても、それが家庭から出た場合は家庭系一般廃棄物として扱われます。例としては、割れた食器、使用済みの衣類、ペットの排泄物などがあります。これらは、各地域のルールに従って適切に分別し処理する必要がありますが、産業廃棄物として特別な処理をする必要はありません。

事業系一般廃棄物

これは、事業活動を通じて発生するゴミであり、産業廃棄物に該当しないものを指します。例えば、店舗で使用したメモ紙などがこのカテゴリーに入ります。しかし、事業系一般廃棄物は家庭系一般廃棄物と異なり、地方自治体による回収サービスの対象外となるため、ゴミを出した事業所自身が適切な処理を行うか、専門の回収業者に処理を委託する必要があります。これは、事業系ごみは産業廃棄物と共に「事業系ゴミ」とされ、法律により事業者の自己責任での処理が義務付けられているためです。

廃棄物収集に必要な許可制度について

廃棄物の収集には、その種類に応じて地方自治体や都道府県からの許可が必須です。これは、営利目的でゴミを収集する場合に限られます。以下では、廃棄物の種類ごとに必要とされる許可の概要と、許可なしで収集活動を行うことの禁止理由について説明します。

必要な許可の種類

  • 一般廃棄物収集運搬業許可: これは家庭系一般廃棄物と事業系一般廃棄物の収集に必要です。自治体からの許可が要求されます。
  • 産業廃棄物収集運搬業許可: 産業廃棄物の収集には、この許可が必要となります。こちらも都道府県からの許可が必要です。
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可: 特別管理産業廃棄物及び特別管理一般廃棄物の収集に必要な許可です。これは特に危険性の高い廃棄物の収集に関して、都道府県からの許可が求められます。

特に、産業廃棄物であっても特別管理産業廃棄物に該当する場合や、特別管理一般廃棄物を収集する場合には、通常の産業廃棄物収許可に加え、さらに厳格な条件を満たす必要があります。

許可が必要な理由

許可制度は、廃棄物の適正な処理を確保し、環境保護及び公衆衛生の観点から不法投棄や不適切な処理を防ぐために設けられています。許可を得ずに廃棄物収集活動を行う業者は、違法業者とみなされ、法律により罰せられる可能性があります。このような許可制度を通じて、廃棄物の処理が適切に行われることを保証し、環境の保全及び人々の健康を守ることが目的です。

許可が必要な理由とその影響

廃棄物収集に許可が必須であることについて、一見すると利便性を妨げるように感じるかもしれません。実際に「もっと手軽に許可を得られたら便利なのに」と思われる方もいるでしょう。しかし、この許可制度が存在しなければ、不適切な廃棄物処理を行う業者が市場に出てくることを防げません。

無許可での回収活動は不可能

許可なしに廃棄物収集活動を行うことは、法律によって厳しく禁止されています。もし無許可で運営する業者が増えたとしても、すべてが不適切な処理を行うわけではないかもしれません。しかし、その結果として街中にゴミが溢れ、公衆衛生が損なわれる可能性が高まります。従って、許可制度は廃棄物の適切な処理を保証し、衛生的な環境を維持するために不可欠です。

許可制度が完璧であるとは言い切れません。実際、廃棄物処理法に基づく市町村の許可の与え方には大きな裁量があり、地域によって許可の取得難易度が異なります。条件を満たしていても新規業者への許可を制限する地域がある一方で、比較的容易に許可を得られる場所もあります。これは、地域ごとに廃棄物収集運搬業者の需要と供給のバランスが異なるためです。

しかし、多くの地域で廃棄物収集運搬業者の数が不足しているのも事実です。不要品を処分したくても、適切な業者が見つからずに困っている人々がいるのが現状です。このような状況は、許可制度の見直しや、新規業者への門戸を広げることで改善されるべき課題と言えるでしょう。

まとめ

廃棄物の種類や適切な捨て方についての説明をしてきました。廃品回収業者に処分を依頼する方法や、行政を通じての廃棄方法の存在もご理解いただけたかと思います。この情報をもとに、実際に廃棄物をどのように処分すれば良いのか、その方法が明確になったはずです。廃棄物処理を行う際に、ぜひともこの情報を参考にしてください。